「まだ見ぬ世界へ」

ゆいなと精神科の後に水族館へ。


思い返せば、水族館ゃ動物園って必ずばぁばも一緒で、

2人きりというのは初めてだ。

私自身、今まで心に余裕がなかったし、

ゆいなもまだまだ手のかかる時期だったから、

2人きりというのはチャレンジだった。

チャレンジのはずなのに、

実際はそんな感じがしなかった。

帰ってきてから、

あ、そう言えば…って思い出したくらい、

ごく自然で、毎日の延長だった。

ゆいなに手を挙げてしまってから、

ゆいなとの間に溝ができたような気がした。

それを埋めるつもり、

という訳じゃないけれど、

なんとなく、

目が覚めたゆいながいつもと違う気がして、

保育園休ませて、

精神科に同行してもらって、

そのまま帰るのもなあ…と思った。

2年前一緒に行ったけど、

ゆいなは記憶が残ってなさそうだし、

いつもと同じ場所じゃなく、

違う世界を、違う日常を、2人でみたかった。


現実逃避。


ゆいなはゆいななりに、

小さな体で、

小さな社会で、

毎日を懸命に生きてる。

それがどんなに大変なことか、

大人になったらきっと忘れてしまう。

幸せになれたからこそ忘れてしまう、

辛かった自身の子供時代。

忘れるに越したことはないけれど、

親になった今、思い出さなければ。

記憶の片隅に、そっと、残して置こう。

ゆいなが大人になって幸せになった時、

その時、そっと忘れよう。

「今までありがとう」

「そばにいてくれてありがとう」

「もう大丈夫だよ」

その時になって、やっと、

辛かった記憶を手放せると思うんだ。